山梨県「富士山登山鉄道構想」、LRT案を断念、ゴムタイヤ式の新交通システムに変更、将来的にはリニア新駅へ接続も

山梨県は、「富士山登山鉄道構想」について、次世代型路面電車(LRT)を使った鉄軌道を断念。レール(鉄軌道)不要のゴムタイヤ式の新交通システム「富士トラム(仮称)」に変更すると発表した。

富士トラムは、電車とバスの両方のメリットを備えた新たなモビリティ。グリーン水素を動力源として採用することで、環境負荷を軽減し、持続可能な交通網の構築を目指す。県によると、すでに今年4月から水素を活用した小型EVバスが甲府と米倉山間で運行されている。

また、磁気マーカーや白線による誘導方式を導入することで軌道化する。これによって、軌道法が適用されることから、 富士スバルラインへの一般車両の進入を規制することが可能になる。さらに、道路に鉄軌道を敷設する大規模な工事をおこなう必要がないため、維持費を含めて大幅なコストダウンも可能となる見込み。

山梨県は2021年2月に「富士山登山 鉄道構想」を発表。これまで、「住民説明会」や地域住民から意見を聞く場を多数設けてきた。また、11月13日には、構想に反対する団体関係者から知事が直接意見を聞く会も開催。県は、その過程から従来の鉄軌道案を断念し、低コストで環境に配慮した「富士トラム」の検討を始めるとしている。

「富士トラム」では、富士山の課題とされている五合目の来訪者管理に加えて、鳴沢村から山中湖村に広がる6市町村の富士北麓エリア、富士山とリニア新駅「山梨県駅」への直結を目指す。また、将来的には県内各地への二次交通網の構築も見据える。 

新交通システムを核としたグランド・ビジョン(山梨県提供)

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