
台湾観光庁は、日本の旅行業界を対象とした商談会および懇親会を開催した。台湾からは、台湾観光協会をはじめ、地方自治体、旅行会社、ホテルなど約25社・団体が参加。台湾各地の最新情報や新たな観光素材を紹介し、訪台日本人旅行者増加に向けた商談を展開した。
2024年の訪台日本人旅行者数は、前年比145%の約132万人と増加したものの、コロナ禍前2019年比では60%の回復率にとどまっている。一方、訪日台湾人旅行者数は同43.8%増の604万人と好調。日台間の交流で大きな差がついている。
台湾観光協会名誉会長の葉菊蘭氏は、懇親会で挨拶に立ち、その6対1の差を課題とする一方、「今後、円安傾向が改善され、また、台湾政府および日本の旅行業界の尽力にって、2026年前半には、コロナ禍前の水準に回復する自信がある」と強調。そのうえで、「台湾では日本市場向けにさまざまなインセンティブや商品を用意している。今年のゴールデンウィークには多くの日本人旅行者が台湾を訪れてほしい」と呼びかけた。
台湾観光協会名誉会長の葉菊蘭氏。
訪台日本人旅行者の回復は遅れているものの、台湾を訪れる外国人旅行者の割合では16.5%と依然としてトップ。台湾観光庁によると、男女別では、女性が50.53%、男性が49.47%とほぼ同等。年齢別では20代、50代、60代以上が前年比を上回った。
台湾にとって大きな市場である教育旅行については、2019年の修学旅行実施校数は334校、約5万4000人が参加したが、2024年の実施校はその60%ほどの回復にとどまっている。
台湾観光庁東京事務所所長の鄭憶萍氏は、「日台関係は深く、観光だけでなく、さまざまな面で関係が密接になっている。今後も、さまざまな分野で交流を拡大させていきたい」と話し、教育旅行の回復にも取り組んでいく考えを示した。
また、団体では報奨旅行誘致助成プログラムも継続。泊数と人数に応じてさまざまな補助金を用意する。
日本の旅行業界と共同イベントで送客促進
さらに、需要喚起策として、今年も日本旅行業界(JATA)との協業を継続する。台湾観光協会とJATAは2023年5月に訪台日本人観光客の早期回復を目的とした覚書を締結した。
2023年から2年連続で共同企画した「合同天燈上げ特別観光イベント」を今年も継続。また、6月28日~7月13日間に行われる「野柳石光(ライトアップ)イベント」の特別前夜祭でも協業し、限定プログラムとして「野柳石光~野柳ライトアッププレミアナイト 2025」と題した特別観光イベントを用意する。
鄭氏は「旅行会社と協業するイベントは集客につながる」として、日本人旅行者誘致のきっかけとして期待を寄せた。
このほか、鄭氏は、訪台日本人旅行の90%が台湾北部に集中していることから、中部や南部への分散も進めていく考えを示し、「新幹線や航空などの交通を使った南部への商品も増えている。特に45%を占めるリピーター向けに、台湾の色々な奥行きを見せていきたい」と意欲を示した。
なお、鄭氏は8年間務めた東京事務所所長を離任。3月14日付で、大阪事務所所長も務めた王紹旬氏が新たに着任する。王氏は、「SNSの力を使いながら、台湾への送客をさらに増やしていきたい」と抱負を述べた。
(左から)台湾に帰任する鄭氏、東京事務所所長に着任する王氏。