国土交通省国土交通政策研究所は、LCCの本邦参入による国内航空市場への影響の把握を目的に実施した研究成果「LCCの参入効果分析に関する調査研究」を公表した。
このなかで、LCCの利用実態を他の(フルサービスキャリア:FSC、高速バス、鉄道)と比較したところ、LCC利用者の平均年齢は43.1歳と推計(5歳幅の選択肢の回答数から算出)。FSC(48.7歳)、鉄道(49.0歳)よりも、最も平均年齢が若かった高速バス(38.8歳)に近い結果となった。
また利用者の職業は、LCCと高速バスは学生がそれぞれ18%、25%と高く、収入が少ない若年層の利用が多い。平均年収はLCCが322万円で高速バスの303万円に次いで低く、FSCが340万円、鉄道が359万円との間に一定の差が生じている。このことから、国土交通政策研究所ではLCCがこれまで航空を利用していなかった低所得者層の利用を促したとしている。
利用動機や手段の重視度を指数化したところ、「運賃の安さ」はLCCが90.7、高速バスが82.0と高く、「遅延、欠便の少なさ」はFSCの34.3、鉄道の37.0に対し、LCCが-6.3、高速バスが-6.0と大幅に低い結果となった。運賃はLCCと高速バスが7000円前後に対し、FSCと鉄道は約2倍。LCCは「座席の快適性」など付随的なサービスの重要度が低く、FSCは全体的に重視度が高いのが特徴だという。
なお、利用動機で「LCCがなかった場合どうしていたか?」の問いには、「LCC以外の航空会社を利用した」が58.0%と半数を超えており、LCCとFSCが強い代替関係にある。「旅行しなかった」も16.0%あったことから、LCCにはある程度の新規需要の誘発効果があるとしている。また、LCC利用者と近い高速バスの利用者がLCCを利用しない理由は「空港へ行くのが不便だから」が多かった。
▼関連記事