東アジアからの訪日旅行者、支出総額50万円以上は14.1%、爆買いは「山分け買い」 - 電通調べ

電通の全社横断プロジェクト「チーム・クールジャパン」は、訪日観光客の消費実態を把握するため、買い物や観光活動などの包括的な消費体験を調査。その結果を公表した。これは、東アジアの5エリア(北京、上海、香港、台湾、韓国)で、過去1年以内の訪日経験者を対象に、購入商品、購入場所、接触メディアなどの動向を2015年3月に調べたものだ。 *画像は電通資料より。

それによると、訪日観光客数一人あたりの支出総額(交通・宿泊費、買い物、レジャー、飲食費、その他合算)は、2014年春の25万6783円から2015年初旬には55.7%増の39万9878円となった。旅行支出総額50万円以上100万円未満は11.1%、さらに100万円以上の人は全体の4.0%となり、50万円以上は14.1%に上る。特に北京や上海では約10%を占めた。

一人あたりの買い物の平均支出額は2014年春の8万8767円から2015年初旬にはほぼ倍増の17万4円となり、5エリアからの訪日観光客のうち4.1%が交通・宿泊費、飲食費などを除く買い物だけで50万円以上を消費。特に北京・上海は他エリアと比べ買い物支出額が多く、10人に1人が買い物で50万円以上を消費している結果となった。また、同一カテゴリーの商品を6個以上購入する人の割合は、約1年前と比べ13カテゴリー全てで増加。購入する商品の数が増えたことも、買い物平均支出額の増加要因のひとつと見られる。

電通発表資料

「自分以外(家族・親族、配偶者・パートナー、友人、職場の同僚)のために購入」の全カテゴリー平均は67.0%にのぼり、 「自分のために購入」の62.7%よりも高い結果となった。 このことから、「爆買い」の背景に他の人のために買う消費行動「やまわけ買い」があることが分かった。

項目別にみると、「家電製品」「AV・音響機器/スマートフォン・タブレット」「衣服」は自分のために購入する人が多く、「医薬品」「ヘルスケア・化粧品」「家具」「トイレタリー製品」は家族・友人など自分以外のために「やまわけ買い」する人が多い。また、「家電製品」を購入する人の85.0%が1~2個を購入するのに対し、「ヘルスケア・化粧品」では約60.3%が3個以上、10人に1人が11個以上の大量消費をしている。

電通資料より

日本に対して「商品・サービスの質が高い」「自国よりも商品が安く購入できる」「本物(偽物ではない)の商品を購入できる」というイメージが訪日観光客のあいだで浸透していることから、単価の高い商品5カテゴリー(家電製品、AV・音響機器/スマートフォン・タブレット、家具、装飾品・宝飾品、ヘルスケア・化粧品)でも「やまわけ買い」される傾向は強まっている。

訪日観光客の日本での買い物支出額は過去1年通期の平均で13万5418円。エリア別に見ると、北京・上海が約26万円、香港が約11万円、韓国が約9万円、台湾が約6万円となっており、中国人観光客による消費額が圧倒的に多い結果となった。

商品カテゴリー別に購入を見ると、5エリア全体でのランキングトップ5は、「食料品・飲料」「ヘルスケア・化粧品」「衣服」「装飾品・宝飾品」「家電製品」の順。エリア別で見ると、北京・上海では「家電製品」「ヘルスケア・化粧品」「装飾品・宝飾品」などの高額商品が上位であるのに対し、香港・台湾では「医薬品」が上位に入っている。

電通資料より

北京・上海からの訪日観光客は、インターネットやテレビ、家族・友人の話を普段の情報源としており、「家電製品」を購入する際に日本で接触したメディアとしては、上記に加え、北京では雑誌、上海では航空会社の機内配布パンフレットが上位に挙げられた。

このほか、調査結果によると、ツアータイプが団体ツアーから個人アレンジの訪日観光へとシフトする傾向が強くなり、訪日観光回数が3回以上のリピーターも増加している。さらに、訪問地も首都圏から和歌山の高野山や広島の厳島神社、静岡の御殿場など地方に広がる傾向も強まっている。

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