JTB総合研究所は日経新シニアライフデザイン研究会と共同で、シニアのライフスタイルにフォーカスした調査をおこなった。18歳から79歳までを対象に、シニアへの準備段階である層と完全退職後のシニア層の意識を比較分析したもの。
若い世代ほど「自宅もシェアでかまわない」
それによると、「自宅を所有せずに借りて済ませてもよい」と回答したのは49歳以下が44.7%で最多。半数近くがシェアリングエコノミーの考え方を受け入れている様子が明らかになった。
一方で50~64歳(新シニア層)は29.7%、65~79歳(今シニア層)は22.0%と、年代が上がるにしたがってその割合が減少。この傾向は「土地」も同様だった。ただし、「自動車を所有せずに借りて済ませてもよい」のは65歳以上が最多。「宝飾品や時計」については、各世代がほぼ同割合で並ぶ結果になった。
この結果より同レポートでは、個人のリソースを借りて合理的に済ませる「シェアリングエコノミー」の考え方が、生涯における消費の在り方にも関わってくる可能性を示唆。その考えの違いの要因については引き続き調査をおこない検証していく必要があると分析している。
男性シニアの好みは「日常は家族と一緒に+旅行は一人で」、女性シニア層は―?
また、「一人ぐらし」については、65歳以上男性は「一人よりも家族で暮らしたい」(47.8%)が最多となり、同世代女性で最多の「自立して一人で暮らしたい」(41.5%)とは異なる傾向となった。また、50代~64歳の新シニア女性は41.0%が「一人暮らしの覚悟が必要」と考えているのに対し、男性の新シニア層はその半分の21.4%。男女で大きく傾向が異なったのが特徴的だ。
その一方、一人旅については、65歳以上の男性は「目的がはっきりした旅は一人で」(41.8%)、「マイペースで旅したい時は一人で」(35.5%)と考えており、それぞれ同世代の女性の26.8%、25.8%を大きく上回った。また、65歳以上女性は「ツアーなどに参加しやすければ一人で旅したい」(30.4%)、「国内は一人で、海外は誰かと一緒に」(24.3%)と考える割合が他と比較して群を抜いて多いのも特徴だ。
この結果より、男性は日常的には誰かと過ごしたい気持ちが強いものの、非日常では一人になりたい傾向が判明。逆に、女性は日常では一人で過ごし、非日常的な時間は誰かと過ごしたいと考える傾向が強いが、シニア層女性に限ってみると、自分の好みに応じて一人になる時間とそうでない時間を切り分ける意識もある様子を垣間見る結果となっている。
シニアにとって「あったら便利」な旅行サービスは?
また、理想的な旅行(あったら便利だと思う理想のサービス)について聞いたところ、「予約不要で好きな時に参加できるアクティビティ」(平均63.8%)が全体的に多かった。そのほか、65歳以上のシニア層では「旅行に詳しい人が気軽に旅行計画の立て方を教えてくれるサービス」(65歳以上 54.8%、全体53.0%)、「旅行の計画を立て、一緒にでかけるサークルや集まり」(65歳以上 41.2%、全体39.2%)」が多い結果に。同レポートでは、旅行の計画行為がおっくうになってくるシニア層に向け、新たなサポートサービスの提供が有効となる可能性があると分析している。
理想の旅行サービスに関する回答は以下のとおり。
今回の調査では、大和ハウス工業、デンソー、クリナップ、富士通総研が協力。アンケートは、国内に住む18歳から79歳までの男女のうち、過去1年以内に1回以上の旅行(国内外・日帰り旅行を含む。ビジネス旅行は除く)経験者2472名が回答。調査期間は2016年10月25日から11月10日まで。