みずほ総合研究所は、企業のIT利活用に関し、調査レポート「IT化・デジタル化の効果と課題」を発表した。
これによると、企業のIT投資が生産性に与える効果は大きく、一人当たりソフトウェア資産が倍増した場合、生産性が6%近く改善する効果があると試算。これまで投資をしてこなかった企業(一人当たりソフトウェア資産額が10万円以下)が投資した場合、単純な試算では約12.5兆円の経済効果が期待できるとした。
みずほ総研の試算では、既に始まっている人手不足に加え、2019年4月施行の働き方改革関連法により、月60時間超の時間外労働時間が削減することで、日本全体で年間約26億時間の総労働時間が減少することになる。これにより、付加価値が約12兆円低下すると試算するが、企業がIT化に取り組むことで残業時間規制の削減分をカバーできるとの見方を示した。
特にその効果は製造業より非製造業が大きく、なかでも生産性改善の効果の大きい業種の一つに、宿泊飲食や生活関連、娯楽を含むサービス業をあげた。
この試算は、これまでIT投資をしていなかった企業が既に実施している企業のように投資した場合の効果を示したもの。サービス業の一人当たりのソフトウェア資産額の平均値は、63万円(2000~2017年平均)となっている。
ただし、導入の課題として、コストのみならず、導入効果が分からない・評価できないという理解不足や、ITを導入できる人材不足をあげる企業が多いという外部調査の結果も紹介。理解のためには、実務の中心人物や経営者による主体的な取り組みを、人材育成には社外研修とスキル習得のための時間各を促し、スキル強化を奨励する文化の醸成が求められるとの見方も示した。