日本旅行の代表取締役社長である堀坂明弘氏が2020年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
堀坂氏は、2020年にスタートする中期経営計画で持続的発展に向けた体制を構築し、旅行会社の枠に捉われない様々な企業との協業で事業領域の拡大と深度化を目指す方針を提示。5Gが実用化され、移動や決済の最適化、自動運転など近未来的・超未来的事業が実現するのはそう遠い未来ではないとし、その社会にリアル・エージェントとして貢献していくとの考えを述べている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
2020年 年頭所感 -「リアル・エージェント」の持続的未来へ向けて踏み出す年に-
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
改元の祝賀に沸いた令和元年、GW10連休やラグビーW杯などで旅行業界は強い追い風を受ける一年となりました。そして令和二年、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック開催の年が明け、日本はこれまでに経験したことがない多くの訪日客を迎え入れることになります。
創業115周年の本年はさまざまな意味でチャレンジの年であると捉えています。経済のグローバル化が進み、また、マーケットはDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けた取り組みが加速、一方で、SDGsの達成、ダイバーシティ、働き方改革など、我々がスピード感を持って対応すべき課題は山積しています。これらへの解決として、最適な組織を構築し、人材の育成を行いながら、継続的にローリングを行っていくことが重要であると考えます。「マーケットイン」の精神に立ち、マーケットニーズに柔軟に適応していくことで、「リアル・エージェント」としての存在感をより高めていく必要があります。
本年、新たな中期経営計画「TRANSFORM2025」をスタートさせます。法人営業分野においては「MICE」「インバウンド」「教育旅行」「BTM」「地方創生事業」を引き続き重点分野とし、強化エリアにおける要員体制の拡大、営業支援の拡充を図り、持続的発展に向けた体制の構築を行います。個人旅行営業においては環境変化に対応した営業体制の再構築、最適化を図り、webとリアル店舗の連携でお客様の利便性の向上を図ります。また、旅行会社の枠に捉われず様々な企業との協業により、更なる事業領域の拡大、深度化を目指していきたいと思います。
地方の活性化、新たな観光資源の開発・発信など、日本全国の地域との連携もより強固なものに推進して参ります。そのひとつが「MaaS」への取組です。いよいよ5Gも実用化され、移動ルートや決済の最適化、更には自動運転、自動課金など近未来的・超未来的事業が実現するのはそう遠い未来ではないでしょう。私たちは私たちの知見を活かし、そこに待つ未来の社会へ「リアル・エージェント」として地域貢献していかなければなりません。
本年は「せとうち広島DC」が開催され、北陸新幹線が開業5周年を迎えます。来年は九州新幹線が10周年、2023年には北陸新幹線が敦賀へ延伸し新幹線ネットワークが拡充されます。2023年開業予定の「うめきた地下駅」を始めとした鉄道インフラの活用や大阪西地区の開発を機とする地域振興など、私たちはJR西日本のグループ会社の一員として真価を発揮していきたいと考えています。
更に東京オリンピック・パラリンピックを皮切りに、来年以降はワールドマスターズゲームズ関西(2021年)、そして大阪・関西万博(2025年)、アジアへ目を向けますと中国では2022年に北京冬季五輪、杭州アジア競技大会と国際イベントが続きます。ラグビーW杯で実感できた国際交流の活発化に当社も積極的に関わり、成果を上げていきたいと思います。
私たちを取り巻く環境が著しく変化しても、私たちが変わらず持ち続けているもの、それは「安心・安全」「お客様満足」を軸としたお客様への思いや取組です。全ての事業の根底にある“変わらないもの”を心に抱きつつ、日本旅行グループの総力を挙げて力をつけ、「リアル・エージェント」の持続的な未来へ踏み出す一歩の年にしたいと思います。
本年も引き続き皆さま方のご支援・ご鞭撻を宜しくお願い申しあげます。
株式会社日本旅行
代表取締役社長 堀坂明弘