国際的なコンサルティング会社であるJ.D.パワー・ジャパンは、日本全国のホテルグループ・チェーンを対象とした2024年ホテル宿泊客満足度調査の結果を発表した。
調査は18回目。今回は部門定義を見直し、最多客室面積35平米以上を「アッパーアップスケールホテル部門」、25平米以上35平米未満を「アップスケールホテル部門」、20平米以上25平米未満を「アッパーミッドスケールホテル部門」、15平米以上20平米未満を「ミッドスケールホテル部門」、15平米未満を「エコノミーホテル部門」として、5つの部門に分けて調査をおこなった。対象ブランドは46。
調査によると、好調なインバウンド需要に加え、人件費やエネルギー価格などコスト上昇を背景に、全体的にホテル宿泊料金が高騰している。前回調査(2023年11月発表)と比較可能な38ブランドのうち、半数近い18ブランドで10%以上上昇した。
一方で、料金上昇が満足度全体に与える影響は限定的だった。総合満足度は前年比10ポイント以上アップが12ブランド、同10ポイント未満上昇が24ブランドで、同10ポイント以上低下の2ブランドを大きく上回った。特に料飲、客室、ホテル施設の評価が高く、同社は「料飲の質向上への積極的な取り組みや、コロナ禍で遅れていた客室や施設のメンテナンスなどハード面での改善に取り組むホテルブランドが多い」とみている。
また、サービスやアメニティ14項目に対して、ホテルを利用する際の重要度を聞いたところ、5部門すべてで「温泉・浴場施設」、「地域/地元の食材や特産品を使った朝食」、「健康に配慮された朝食」が上位3位以内だった。「温泉・浴場施設」 は4部門でトップ。朝食は、地域の食材や特産品、健康に配慮と2項目ですべて上位3位以内と、重要度の高さが示されている。
導入が進む「スマートチェックイン」については、5部門中4部門で重要だと思うサービスやアメニティの上位5位以内に挙がった。セルフサービスでのチェックイン利用率はエコノミーホテル部門で25%、ミッドスケールホテル部門で17%、アッパーミッドスケールホテル部門で12%となった。
こうした結果から、同社は「宿泊料金の上昇にもかかわらず、宿泊客満足度の維持・向上が確認された。しかし、今後もインバウンド需要、物価上昇、人員不足といった状況が続くかぎり、高水準の宿泊料金が継続すると予想される。その中で、各ホテルブランドにおいては、満足度向上とリピート客の獲得に向け、何に注力するか、宿泊客に提供できるブランド独自のベネフィットは何かを見極めた上での効果的な施策の展開が求められる」などと分析している。
部門別の総合満足度トップ3は下記のとおり。「」(カッコ内)は部門内で最高評価を得たファクター。
アッパーアップスケールホテル部門(対象4ブランド)
- 1位 オークラ ※「料飲(F&B)」「客室」「料金」「ホテル施設」「チェックイン/チェックアウト」
- 2位 ウェスティン
- 3位 シェラトン ※「ホテルサービス」
アップスケール部門(対象10ブランド)
- 1位 インターコンチネンタルホテル/ANAインターコンチネンタルホテル ※「客室」「料金」「ホテル施設」「ホテルサービス」「チェックイン/チェックアウト」
- 2位 ハイアットリージェンシー ※「料飲(F&B)」
- 3位 ニューオータニ
アッパーミッドスケールホテル部門(対象8ブランド)
- 1位 ラビスタ ※「料飲(F&B)」「客室」「ホテルサービス」
- 2位 OMO by 星野リゾート ※「料金」「ホテル施設」
- 3位ANAクラウンプラザホテル ※チェックイン/チェックアウト」「予約」
ミッドスケールホテル部門(対象10ブランド)
- 1位 リッチモンドホテルズ ※「客室」「料飲(F&B)」「チェックイン/チェックアウト」
- 2位 ベッセルホテルズ ※「料金」
- 3位 カンデオホテルズ ※「ホテル施設」
エコノミーホテル部門(対象14ブランド)
- 1位 スーパーホテル ※「チェックイン/チェックアウト」「ホテル施設」「ホテルサービス」
- 2位 ヴィアインホテル ※「客室」「料飲(F&B)」
- 3位 コンフォート