ユネスコ(国連教育科学文化機関)は2024年12月5日(日本時間)、南米のパラグアイで開催している政府間委員会で、日本の「伝統的酒造り」をユネスコ無形文化遺産に登録すると全会一致で決定した。
日本酒、焼酎、泡盛など酒が日本文化に深く根付き、神々からの贈り物として祭りや結婚式などの行事に欠かせないのに加え、職人が実践と伝承をおこなっていること、原料を供給する農家など地域住民とのつながりが強いこと、コミュニティが酒蔵周辺の持続可能な食糧生産と環境保護に取り組んでいることなどが評価された。
ユネスコ無形文化登録遺産登録を受け、石破茂内閣総理大臣は「日本各地で人から人へとと受け継がれてきたこの伝統的な技術を守り、次の世代へ継承するとともに、今回の登録を契機に、国内のみならず海外の方にも『伝統的酒造り』を知っていただき、地方創生や海外のさらなる展開にもつながるよう、関係者の方々の取り組みを支援していきたいと思います」とメッセージを寄せた。
また、あべ俊子文部科学大臣も「『伝統的酒造り』は、伝統的なこうじ菌を用いて、杜氏・蔵人等が経験に基づき築き上げてきた技術であり、日本各地の自然の特徴や気候風土を反映する形で発展を遂げてきた我が国の大切な文化」との談話を発表した。
記念イベントやシンポジウムなど続々
日本酒造組合中央会、「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」、日本酒造杜氏組合連合会ら業界大手3団体は、「伝統的酒造り」の無形文化遺産登録に向けて、各種の取り組みをおこなってきた。3団体は、喜びのコメントとともに、今後、国内各地の酒造組合で日本酒、泡盛、焼酎などに関する様々なイベントを開催することを発表した。
また、文化庁は登録を記念し、2025年1月25、26日に石川県金沢市で「匠のわざと日本の文化を未来へ紡ぐ伝統的酒造りシンポジウム」を開催すると発表。伝統的酒造りに関するトークセッション、お酒の飲み比べや伝統工芸品制作などの体験イベントなどがおこなわれる予定だ。
なお、日本の無形文化遺産は歌舞伎、和食など23件が登録されており、現在、書道が提案中となっている。