年末年始の旅行動向、海外旅行者は13%増、行先は遠方と近場で二極化進む、国内は連泊が微増 ーJTB推計

JTBは、2024/2025年の年末年始(12月23日~1月3日)に、1泊以上の旅行に出かける人を対象にした旅行動向見通しをまとめた。それによると、総旅行人数は前年同期比2%増の2852万人と推計。総旅行消費額は同6.3%増の1兆3460億円と見込んでいる。

平均費各種経済指標、業界動向や交通機関各社の動き、宿泊施設の予約状況、各種意識調査などをもとに算出したもの。

国内旅行、時期の分散化すすむ

国内旅行は、先行きへの不安などの影響によって前年並みの需要。旅行人数は2800万人、旅行消費額は同4.9%増の1兆2040億円、平均費用は同4.9%増の4万3000円と推計。旅行時期は、前年に比べ一層分散する傾向がみられ、帰省や家族・親戚の訪問などよりリラックスや家族と過ごすことを目的とした旅行が増加しているという。

国内旅行の日数では、「1泊2日(29.9%)」が最も多いものの、前年から2.4ポイント減少。一方、日並びの良さもあり、「2泊3日(28.2%)」が0.7ポイント増加している。

同行者では、「子供づれ(中学生まで)の家族旅行(20.6%)」が最も多く、次いで「ひとり(19.8%)」「夫婦のみ(18.7%)」の順。

旅行先では、「関東(24.2%)」が最も多く、次いで「近畿(17.9%)」「東海(11.2%)」となった。また、居住地別に旅行先を見ると、旅行先と居住地が同じ地方である域内旅行の割合は、「北海道(56.9%)」「九州(56.9%)」「東北地方(49.4%)」の順に高くなった。

利用交通機関では、「自家用車(49.3%)」が最も多くなったが、2.3ポイント減少。旅行の長期化により、複数の交通機関を利用する様子がうかがえると分析している。

利用宿泊施設では、「ホテル(51.1%)」が最も多く、4.1ポイント増加。次いで「実家・親族の家(32.7%)」となったが、旅行目的の「帰省」の減少に合わせて4.3ポイント減少した。

JTBの宿泊・国内企画商品の予約状況(12月4日付)は前年比100%。方面別に見ると、首都圏発ではジブリパークやユニバーサル・スタジオ・ジャパン、沖縄や九州、中部発では北海道と沖縄、関西発では北海道、九州、沖縄など、遠方への旅行が前年に比べて好調だという。

海外旅行、人気の旅先は韓国、短期の旅行が増加

海外旅行者は、日並びの良さなどから、同13%増の52万人と予想するも、2019年/2020年の年末年始の83万人には程遠い状況。旅行消費額は同20.6%増の1420億円、平均費用は同6.6%増の27万3000円と推計。旅行先は、近隣に加えて、欧米豪など遠方へ長期に旅行する傾向も見られ、二極化傾向が一層鮮明になっているという。

旅行日数を見ると、「3泊4日(25.5%)」が最も多く、次いで「8泊以上(16.1%)」。3泊4日以下の合計は前年に比べ4.3ポイントの増加で、2019年と比べると6.2ポイント増となっていることから、短期の旅行割合が増えていると分析している。

旅先で最も多かったのは「韓国(26.2%)」で、前年から9.5ポイント増加。次いで「台湾(11.4%)」「欧州(10.7%)」「ハワイ(10.1%)」。

一人あたりの旅行費用は「40万円以上(17.4%)」が最も多く、次いで「15万円~20万円未満(15.4%)」「7万円~10万円未満(14.1%)」の順。

JTBの海外旅行の予約状況(12月4日付)は、前年同期比30%増。遠方はハワイやシンガポール、オーストラリア、ヨーロッパ、近隣は台湾、グアム・サイパンが人気となっている。

オーバーツーリズム対策は早めの予約

このほか、JTBは生活者意識についてもアンケート調査を実施。「今年の年末年始の生活」状況を聞いたところ、「昨年より収入が増えた(7.1%)」は前年から増加、「昨年より収入が減った(14.0%)」は減少した。

「今後1年間の旅行の支出に対する意向」については、「総旅行費用は同程度(50.3%)」が増加。「これまでより総旅行支出を増やしたい(14.2%)」「これまでより総旅行支出を減らしたい(35.5%)」はいずれも減少しており、旅行支出額の大幅な増減はなかった。

さらに、「オーバーツーリズムへの対応」についても聞いたところ、工夫していることで最も多かったのは「早めに交通や宿泊施設の予約を行う(31.0%)」。次いで「繁忙期を避けた時期に旅行する(19.1%)」「混雑が少ないと予想される旅行先や観光スポットを選ぶ(16.4%)」「同じ旅行先のまま、曜日を平日にずらすなど混雑が少ないと予想される日程に変更する(15.9%)」の順となった。

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