トランプ大統領の政策で、米国への外国人旅行者が減少する予測、反感も一因、カナダは2月に24%減に

写真:Fortune(ロイター通信)

調査会社ツーリズム・エコノミクスは、トランプ大統領の「アメリカ第一主義」の姿勢によって、米国への海外旅行は今年5.1%減少するとの見通しを示した。以前は、8.8%増加すると予想していた。これに伴い、外国人観光客による米国での支出は11%減少し、180億ドル(約2.7兆円)の損失になると見込んでいる。

トランプ大統領の関税とロシアへの友好的なアプローチが世界的な反発を招いている。また、貿易戦争が拡大することで米国の貿易相手国全体の経済成長は鈍化し、通貨が圧迫されると見られている。

ツーリズム・エコノミクスのレポートでは、「米国への主要旅行市場では、トランプ政権の政策によって、国内で重要な産業、中小企業、家庭への経済的損失が、米国への旅行を阻むだろう。一部の企業は、米国でのイベント開催や従業員の米国への派遣を避け、出張が減るだろう」と予測している。

同社のアダム・サックス社長は、リポートがリリースされた2週間後、フォーチュン誌への投稿で、5.1%の減少予想はさらに悪化する可能性があるとコメントした。

特にカナダの反発は強く、すでに自動車で米国からカナダに戻る旅行者数は、今年の2月には前年比で24%減少。今年、カナダから米国への旅行者数は前年比で15%減少すると見られている。

また、欧州では、関税に加えて「米国がウクライナ戦争でロシア寄りの姿勢を示していることで、米国への感情が悪化している」ことから訪米旅行者が減少するとの見方を示している。

実際のところ、2月に米国を訪れた外国人旅行者数は前年比2.4%減。ワシントンポスト紙によると、アフリカからは9%、中米からは6%、アジアからは7%、中国からは11%減少したという。

米国の航空会社も近頃、関税や連邦政府の大量解雇が経済の不確実性を生み出しているため、消費者や企業の旅行需要が減っていると警鐘を鳴らしている。

トランプ政権は、貿易赤字の解消に躍起になっているが、米国国内での旅行者の支出は、輸出として扱われるため、赤字は拡大するとの見方もある。

米国では、2026年にFIFAワールドカップをカナダ、メキシコと共催。2028年にはロサンゼルス五輪が開催される。サックス氏は、ワールドカップが影響を受ける可能性は低いが、五輪は比較的リスクがあると見ており、「国の指導者に対する反感は相当な影響を及ぼす可能性がある」と話した。

※ドル円換算は1ドル150円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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