京王観光のインバウンド事業立ち上げの舞台裏を聞いてきた、東京観光財団の支援が成功のカギ(PR)

2022年夏に東京観光財団内に開設された、「東京観光産業ワンストップ支援センター」。観光関連事業者からの相談業務や経営力向上のためのセミナー開催、補助金などの情報提供や専門家の派遣などのさまざまな支援メニューをとおして、東京の観光関連事業者を強力にサポートしている。

京王観光は、2023年から同センターのサポートを受け、多摩地域を中心としたインバウンド事業に取り組んでいる。この2年間でどのような支援を受け、事業はどう成長してきたのか? 京王観光が目指すインバウンド観光とは? 東京観光財団と京王観光に話を聞いた。

豊富な支援メニューで事業をサポート、他部署や関連機関との連携も

「東京観光産業ワンストップ支援センター」は、東京観光財団の「観光産業振興部」のなかに置かれる観光関連事業者の支援に特化した相談窓口だ。コロナ禍で観光産業が厳しい状況下にあったときに、観光関連事業者の伴走支援に特化した部署として、2022年7月に立ち上げられた。

センターの業務は大きく4つ。まず1つ目は「総合相談窓口」としての機能で、観光関連事業者からの経営相談や各種支援メニューへの問い合わせに対応する。2つ目は公式サイトを通した情報発信で、補助金などの支援メニューや各種セミナーの開催情報などを、業種や活用目的ごとに探しやすいよう整理して提供している。3つ目の「東京観光産業アドバイザー派遣」業務では、事業者の相談内容に応じ、経営課題の解決に最適と思われるアドバイザー(専門家)を派遣。4つ目はセミナーや交流会等の開催で、年に4回、経営力を高める実践的なセミナーとともに、ビジネスマッチングの機会を設ける事業者交流会を開催している。

これらに加えて、海外商談会の参加・出展希望などのニーズをヒアリングし、東京観光財団内の別部署との連携をおこなうなど、組織全体でサポートできるように努めている。

東京観光産業ワンストップ支援センターがサポートする主な領域

招聘事業の経験と豊富なリソースを生かし、グループ旅行を取り込む

京王観光は1953年創立、日本に現存する旅行会社の中で第1種旅行業者としての登録番号が2番目に古く、歴史ある旅行会社だ。京王線の沿線に大学を含む教育機関が多いことから、教育旅行やスポーツ分野に強みをもち、国内の顧客を中心に事業を展開してきた。

同社がインバウンド事業への取り組みを決めた理由は、2018年頃からインバウンドの増加や旅行者の予約行動の変化など、旅行会社の存在価値が問われる大きなマーケットの変化を感じていたところにコロナ禍を経験。「新たな事業の柱を創る必要性を強く感じた」ことだと、京王観光旅行事業部インバウンド推進チームの谷健之氏は話す。

もともと同社は招聘事業もおこなっており、海外からの団体旅客の取り扱い経験は豊富。30年以上前から培ってきた招聘事業のノウハウや実績を生かし、レジャー分野でインバウンド事業に取り組むことを決断した。

京王観光旅行事業部インバウンド推進チームの谷健之氏2023年6月に、6人のメンバーで「インバウンド推進チーム」を立ち上げた。同社にとって、レジャーインバウンド事業への取り組みは初めての経験。チーム立ち上げ当時は、インバウンド向けの商品に加え、多言語ウェブサイトも営業ツールもない状況だった。「どのように進めていくべきか模索するなかで、東京観光産業ワンストップ支援センターの存在を知りまずは話を聞きにいった」(京王観光旅行事業部インバウンド推進チーム岡部政志氏)。

アドバイザーの助言、セミナーや商談会参加をフルに活用

事業立ち上げ1年目の2023年は専門家の助言を得て、まずはインバウンド客の受け入れ体制の整備に取り組んだ。「東京観光産業アドバイザー派遣」はセンターが手掛ける事業の一つで、観光産業に知見のある専門家を1事業者につき最大5回まで無料で派遣する制度。「当時は受け入れ環境整備を課題としていたため、中小企業診断士の資格をもつ専門家を派遣してもらった。半年間、毎月1回のペースでミーティングをおこないながら、ウェブサイト構築や旅行商品づくりに取り組んだ」(岡部氏)。

受け入れ体制が整ってきた2年目の2024年は、販路構築を重視。実践的なインバウンド業務に長けた専門家を紹介してもらった。「海外の商談会へ積極的に出展する方針を決め、出展すべき世界の商談会や、出展に向けて必要な準備などを教えてもらった。実際に商談会に行くときも、商談のポイントなどをしっかりアドバイスいただき、成果を得ることができた。私たちにとって非常に有効なサポートであったと考えている」(岡部氏)。

海外の商談会や国内セミナーにも積極的に参加

また、アドバイザーの助言を受けて商品もブラッシュアップ。「一例として、多摩地域の観光資源を活かしながら、ターゲットとする欧米豪のインバウンド客の嗜好に合わせ、宿坊体験や滝行なども取り入れた御岳山のコースを造成した。プロモーション動画をつくる際にも、体験そのものの紹介だけでなく、たとえばコースの中で出会える小動物のカットや、聞こえてくる自然の音を取り入れるなど、臨場感をもって魅力を伝えられるように、新鮮な観点でアドバイスいただけた」(谷氏)。

アドバイザー派遣に加え、セミナーや交流会への参加も有意義だったという。「セミナーで得たヒントをもって沿線の観光素材を見つめなおすことで、新たな商品のアイデアにつながったことや、交流会を通じて同業のインバウンドに取り組む方と交流できたことが大きい。同業者とは、お互いに足りないところを引き出そうと、その場の出会いから事業に発展したこともある。東京観光産業ワンストップ支援センターの支援を受けて本当によかったと思う。今後もずっとご一緒したい。心強い存在だ」(岡部氏)。

京王観光旅行事業部インバウンド推進チームの岡部政志氏

事業者に伴走し、東京都への誘客を推進

東京観光産業ワンストップ支援センターは、観光関連事業者とともに、経営課題の解決に取り組むために伴走をしているところが大きな特徴である。

立ち上げ当初から京王観光に伴走してきた東京観光産業ワンストップ支援センターの松岡孝治氏は、「京王観光が強みをもつエリアには、多摩地域を含めて、高尾山や御岳山などさまざまなコンテンツがある。同社には、そういった都心以外の地域へインバウンドを誘客してくれるという期待もある。財団全体で引き続き伴走をしていきたい」と力をこめる。

京王観光の次の目標は3つ。多摩地域の観光資源を活用した持続可能な商品づくり、海外からの教育旅行の受け入れと教育交流の創出、そしてMICEの誘致だ。「当社の一方的なアプローチでは長続きしない。魅力的な商品づくりには、地域の人々の理解と協力を得ること、地域経済に貢献できることが必要だ。さらに地域に根差した商品づくりのために、今後もセンターの力を借り、多摩地域をインバウンド客が必ず立ち寄るエリアにしていきたい」(谷氏)。

松岡氏も、引き続き京王観光に伴走し、コンテンツ開発などをサポートしていきたいと考えている。「東京都には、まだまだ知られていない魅力的な観光資源も多くある。日本人にはあたりまえのものであっても、外国の方には特別な体験となるコンテンツもあると思う。そういったコンテンツの開発に伴走していきたい」(松岡氏)。

東京観光産業ワンストップ支援センターの松岡孝治氏

松岡氏は、何かやろうと思い立ったときや、迷うことがあったときは、まずは東京観光産業ワンストップ支援センターに気軽に相談してほしいと語る。アドバイザーと相談するなかで気づきを得たり、これまで知らなかった補助金を活用できたりするケースも多いからだ。セミナーや交流会も随時開催される。下記のウェブサイトからマイページ(ユーザー)登録をおこなえば、ウェブ上から相談することができる。

広告:東京都・東京観光財団

東京観光産業ワンストップ支援センター 公式ウェブサイト

問い合わせ先:

記事:トラベルボイス企画部

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