GW10連休はインバウンド客が訪日を回避、「座席確保できない」「日本人の混雑」で、日本政府観光局が見解を発表

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日本政府観光局(JNTO)は2019年6月27日、記者会見を行い、訪日客の最新動向について説明を行った。同企画総室総室長の金子正志氏は「今年のゴールデンウイーク(GW)の10連休は、インバウンド(訪日客)がアウトバウンド(日本人の海外旅行)に押された。日本人の出国ラッシュで座席が確保できない、混んでいるために訪日を回避するとの動きもあり、人の流れが東京に集中する2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの訪日施策を考える上でも、キーポイントになった」などとの見解を明らかにした。

中国やベトナムのリゾートとの競争激化

JNTOによると、2019年5月の訪日外客数は前年同月比3.7%増の277万3000人。欧米豪が10%増、東南アジアが15%超と順調で5月の月間として過去最高を記録したものの、シェアが大きい韓国、台湾、香港がいずれも前年割れし、停滞感が浮き彫りになっている。韓国、台湾については、訪日より安価なベトナムのリゾート、中国など競合エリアとの競争が激化しているのに加え、10連休の影響が訪日客数の抑制という形で表れたのが減少の理由だ。

金子氏

具体的には、10連休中は航空券の予約が取れない、宿泊施設が高騰して泊まれない、日本人の移動で混んでいるとの理由から、訪日を回避する人が増えた。日本人の出国ラッシュに伴い、連休前から帰りの便が確保できないとの声もあった。金子氏は「アジアを中心に影響があり、日本の情報に詳しいか否かでも差が出た可能性がある」と指摘する。

また、GW中の来訪者を日本国内でGPSデータが観測されたユーザーを対象に国籍構成比から分析したところ、2019年は2018年との比較で、中国は増えたものの、韓国、米国が減少するなど傾向に変化があったという。

訪日体験100のパンフレットを制作

「大市場の東アジアの強化を含めた全方位作戦に変更はない」と語る金子氏。会見では、急伸する欧米豪への新施策も発表した。

欧米豪市場に人気が高い石川県金沢市のひがし茶屋街をはじめ、体験型観光コンテンツを外国人目線で紹介する冊子「100 Experiences in Japan -Find the Japan of your Dreams!-」を制作。今後、国内外の商談会で配布するほか、SNSなどを通じた訪日プロモーションに活用する。コンテンツは主に欧米豪市場を念頭に全国から募集したもので、応募総数は約2100件に上り、300件を選定したうえで、100件のコンテンツをパンフレットで紹介した。

また、冊子の選出に至らなかったコンテンツについても、地域に受け入れ体制のポイントをフィードバックして素材の磨き上げを強化する考えだ。

取材・記事 野間麻衣子

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