【年頭所感】カナダ観光局日本地区代表 半藤将代氏 ―新しい観光の形で、より心豊かな社会へ

カナダ観光局日本地区代表の半藤将代氏が、2024年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。

半藤氏は、カナダと日本の結びつきは強く、航空便数がコロナ前を大幅に上回り、新規路線も相次いで就航している現状を説明したうえで、カナダの旅行業界が一丸となって日本からの観光客を歓迎すると述べた。

また、旅行者のマインドの変化に伴い、カナダでもより有意義で学びのある体験が求められ、目的ある旅、地域への貢献やつながりを重視する旅行者が増えていると指摘。その土地が観光客にとっても大切な場所になる新しい観光の形によって、より心豊かで幸せな社会を実現していきたいとしている。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


年頭所感

新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年から海外旅行が本格的に再開されました。カナダと日本の結びつきは強く、航空便数はコロナ前を大幅に上回り、新規路線も相次いで就航しています。皆様からご支援いただき、カナダへの観光客は着実に回復しつつあります。カナダの旅行業界は一丸となって日本からのお客様を歓迎いたします。

目下、円安や物価高、旅行代金の高騰もあり、お客様のマインドは大きく変化しました。とくに海外旅行では、より有意義で学びのある体験が求められています。ハイキングやスキー、野生動物との出会いなど、ご自身の興味関心に沿った目的ある旅が増えました。地域への貢献やつながりを重視する方もいらっしゃいます。より付加価値の高い旅行が注目されています。

これまでカナダ観光局は州、準州の観光局および旅行会社やメディアと共同で、「カナダの、その奥へ──。」をテーマに、新しい観光を提案してまいりました。息を呑むような絶景の、その奥にある物語に共感することで、旅行者の人生に新しい輝きをもたらしたいという思いが込められています。

今年はこのキャンペーンのもと、カナダ全土での商品開発に取り組み、とくに秋の販促を強化することで観光シーズンの平準化を図ります。圧倒的な大自然、多様な文化とホスピタリティ溢れる人々、そして共生の精神が深く根ざすカナダならではの体験価値、交流価値をさらに訴求してまいります。

いま、観光産業は大きな転換点にあります。社会の分断、システムの不平等や格差、地政学的なリスク、気候変動と環境問題、オーバーツーリズムによる観光公害、地域文化の衰退など、私達はこれまで経験したことのない多くの難しい問題に直面しており、従来のビジネスモデルではこうした課題を解決できません。

そこで、これからの時代を見据え、カナダでは自然環境、文化、社会、経済のサステナビリティを重視し、その土地をより良い状態にして未来に引き継ぐ再生型の観光が始まっています。同時に、すべての人種、性的マイノリティ、女性や若者、先住民や新移民など誰一人取り残さないインクルーシブな観光産業を目指しています。コミュニティが繁栄し、観光業に就く人々の雇用とやりがいを向上させることで、お客様を心から歓迎し、地域に脈々と受け継がれる価値を体験してもらうことができます。

カナダが提供する本質的な価値は、世界中のどの国とも違う、突出した「オープンさ」にあります。誰もが閉塞感や行き詰まり、孤立を感じる現代社会において、カナダの旅が私達の心を解き放ってくれます。この価値をより多くのお客様と分かち合い、自由な心でカナダの自然や文化、人々や野生動物とのつながりを体感していただければ幸いです。

連綿と受け継がれてきた豊かな土地に暮らす人々。そこを旅してその土地に愛着を感じる人々。つながり、地元愛を分かち合うことで、その土地が観光客にとっても大切な場所になる。そんな新しい観光によって、より心豊かで幸せな社会を実現していきたいと思います。引き続きご支援を賜れれば幸いです。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

カナダ観光局

日本地区代表 半藤将代

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…