日本政府観光局、訪日客4000万人に向け、地方部への誘客をさらに強化、北陸4県はプロモーション効果で93%増

2024年の訪日外国人旅行者数が過去最多の3687万人となり、消費額も過去最高の8.1兆円を記録した。JTBは2025年の訪日外国人旅行者数が4000万人を超えると予想。観光庁の祓川直也長官もその数に言及するなか開催されたメディアブリーフィングで、日本政府観光局(JNTO)理事の出口まきゆ氏は、「訪日市場はさまざまなことに影響されるが、需要トレンドは強いことに変わりはない。これからも積極的な取り組みを進めていく」と話し、2025年の4000万人に向けて意欲を見せた。

北陸4県への訪日外国人は93%増

そのために、JNTOは引き続き地方部への誘客を進めていく方針だ。2024年の宿泊旅行統計を見ると、2024年10月の宿泊者数では東京、大阪、京都が2019年を上回り、三大都市圏の延べ宿泊者数の回復率は2019年比67.4%増。一方、地方部は同31.3%増と三大都市圏とは依然として開きがある。

ただし、地方部への東アジア市場は回復傾向にあるほか、欧米豪やインド・シンガポールなど2019年同期を上回っている市場もあることから、出口氏は「地方部の回復も確実に進んでいる」との認識を示した。

地方部の誘客については、能登半島地震の復興を見据えた北陸地域へのプロモーションも展開する。風評被害対策として、JNTOのオウンドメディアで観光地の正確な情報や北陸新幹線延伸に関する情報を発信しているほか、メディアや旅行会社、インフルエンサーを招請し、訪問意欲を促進する取り組みを進めている。

JNTOによると、各市場に合わせたプロモーションを展開した結果、北陸4県(新潟、富山、石川、福井)の2024年1~10月の外国人延べ宿泊者数は約250万人となり、前年同期の約130万人から93%増となった。

JNTO海外事務所によると、従来のゴールデンルートと異なる金沢を中心に東京から北回りで京都・大阪に向かう旅行商品が複数販売され、フランスなどでは、オーバーツーリズムを避けたいという需要が高いことから、2~3週間の滞在中に北陸を訪れる傾向も出ているという。

JNTOでは、政府の「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」で示された「観光復興に向けた支援」の一環として、被災各県の要望を踏まえつつ、北陸の観光プロモーションを強力に推進していく方針だ。(JNTO企画総室担当部長の冨岡秀樹氏)。

また、地方誘客に向けては、アジアでの大規模キャンペーンも展開。OTAで販売を強化するエリアを絞った特設ページの開設、航空券、宿泊、体験型コンテンツ、交通パスなどの販売、メディアやインフルエンサーを活用した情報発信を実施した。さらに、2024年度は中国大手OTA「シートリップ(Ctrip)」とタビナカ予約「Klook(クルック)」と連携するほか、日系LCCと連携した地方誘客も進めている。

アドベンチャーウィーク2025は東北で

このほか、JNTOは2024年11月に沖縄で開催された「AdventureWeek2024」についても報告。ファムツアーと商談会が行われ、海外からは旅行会社12人(米国6人、英国3人、スペイン2人、イタリア1人)が参加し、商談会には、海外バイヤー15人、セラーとして沖縄県内のDMO、ツアーオペレーター、アクティビティ事業者など13団体・社が臨んだ。

JNTOによると、海外参加者からは「あまり村人に会えなかったのが残念」「沖縄の人々が普段どのような食材を購入し、それがBlue Zoneにどのようにながっているのかを知ることができればなおよかった」といった要望のほか、英語表記や英語対応についての意見も聞かれたという。

今年、「AdventureWeek2025」は9月頃に東北で開催される予定。3月頃には東北エリアのガイド、サプライヤーの知識・スキル向上を目的にオペレーター研修、5月頃にはアドベンチャー・トラベル・トレード・アソシエーション(ATTA)によるファムトリップコースのブラッシュアップが実施される。

ファムツアーのテーマは「東北の広大な大地で、自然・文化・人々との暮らしを五感で感じ、ありのままの自分と生まれ変わっていく自分を感じることができる旅」。JNTOでは、海外から旅行会社12人、メディア3人を招請する予定だ。

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