PwCコンサルティングによる調査で、ミレニアル世代(21歳から29歳までの年齢層)の旅行者は、ホテルのロイヤルティプログラム利用に対して、「客室のアップグレード」などを通じた"今までにない体験"を期待する傾向が強い結果が示された。
この調査は、同社が「ホテルブランドにとって顧客ロイヤルティを高める要因」をテーマにとりまとめたもの。
ミレニアル世代は「ソフト面の特典」を重視する傾向に
これによると、ミレニアル世代がロイヤルティプログラムで蓄積したポイントと交換したいものの1位は「無料宿泊特典」(ミレニアル世代64%、それ以外の世代85%)。いずれの世代も過半数を占めるものの、20ポイントの差が開き、ミレニアル世代よりもその他の年代のほうが「無料」であることを魅力に感じていることがわかる。
一方で、「客室のアップグレード」を期待するミレニアル世代が36%に至るのに対し、それ以上の世代では16%にとどまる。「航空マイル」への交換は、いずれの世代も14~19%と大きな差が見られなかった。この結果は、ミレニアル世代がロイヤルティプログラムに対して、ハード面よりもソフト面を重視すると同時に、他では得られない体験そのものに魅力を感じる志向を示唆している。
旅行者がポイントと交換したいものに関する調査結果は以下のとおり。
若い世代にとっては、「民泊での多少のリスクも"体験"の一部」
また、旅行先の宿泊場所としてのシェアリングエコノミー(民泊)利用意向でも、ミレニアル世代の特徴が明らかになった。ミレニアル世代のレジャー客の60%は「冒険的な経験」としてシェアリングエコノミーを積極的に活用。安全面や衛生面などで比較的リスクがあったとしても、テクノロジーを利用し商品やサービスを購入し、低価格でユニークな体験を得ることを「魅力」「冒険」と感じる傾向が浮き彫りとなっている。
一方で、旅行者の世代 だけに着目するリスクも
ただし、本レポートではミレニアル世代が「ほかの世代と変わらない」「全世代のレジャー客/ビジネス客の行動に類似する」点にも着目している。
例えば、ミレニアル世代のビジネス客は平均で3.4件のロイヤルティプログラムに入会しているが、この数字はミレニアル世代以外のビジネス客(平均3.9件)より少ないものの、同レジャー客(平均3.2件)よりも多いことが判明している。これは、ミレニアル世代もほかの世代と特に変わらない点のひとつだ。
また、ポイントの利用頻度では、ミレニアル世代は「過去1年間に1度もポイントを使用したことがない」が52%。この数字は全世代の「レジャー客」のもの(58%)と近しい。半面、ポイントの利用目的で、客室のアップグレードのような「ソフト面」の特典にメリットを感じる傾向は、全世代の「ビジネス客」と共通するという。
旅行者の属性別にみたポイント利用頻度は以下のとおり。
同社ではこれらの結果より、ホテルのロイヤルティプログラムに対する期待の傾向は、単に年代で語れるものではなく、あくまでも「利用者がどのようにポイントの価値を理解し、行動を後押しするか」という視点が重要だと分析。複数の角度で顧客ロイヤルティをとらえ、ホテル独自のサービスにつなげる必要があるとしている。
今回の調査は、年間宿泊数10泊以上のビジネス客と同5泊以上のレジャー客の合計1026名を対象に実施したもの。年代分布は21歳から69歳まで。年代別割合は、21歳から29歳までのミレニアル世代が14%、30代以上が84%。