日本の飲食料品は訪日旅行の動機にもなるほど、その味覚や安全性の定評を得ているが、いつまでも現状におごっているわけにはいかないようだ。ユーロモニターインターナショナルの調査によると、飲食品市場では今後、ハラールやヴィーガン(完全な菜食主義)の認証・認定の飲食品は2020年にかけて、年平均5%の割合で急速に拡大する見込みだという。
ユーロモニターでは企業やその製品・サービスに、「社会的責任」や「持続可能性」が求められるようになった現在の風潮を踏まえ、新たな市場調査指標として「エシカル」(倫理・道徳を重視した活動)な製品の市場規模やデータベースを導入。このほど、日本を含む26か国でのエシカルな製品の市場を定量化し、発表した。
このうち飲食品市場では、特にハラール飲食品市場が2020年までに現在の453億米ドルから583億米ドルに拡大する見込み。2030年までにイスラム教徒が世界人口の26%にまで増加するとの予想があるなか、ハラール認証を受けた肉の需要が急速に拡大するという。ハラール認証を受けた加工食品市場では中国が167億米ドルであり、インドネシアの44億米ドルより大きい市場規模となっている。
また、ヴィーガン認定飲食品市場も2020年にかけ、年平均中国で17.2%増、アラブ首長国連邦で10.6%増、オーストラリアで9.6%増のペースで拡大していく見込み。
このほかユーロモニターではコーシャー(ユダヤ教の食品規定)認証飲食品市場について、アメリカがイスラエルの約18倍の規模であること、「動物愛護」を謳った飲食品市場はイギリスが301億米ドルと突出していることなど、飲食品市場においてエシカルな製品の市場の拡大を裏付けるデータを公表している。