日本旅行業協会(JATA)は2023年12月1日、「観光産業共通プラットフォーム」の本格運用を開始した。旅行会社と宿泊施設の情報連絡業務を一元化し、生産性向上を図る目的で構築したもの。管理する情報は(1)災害情報、(2)宿泊施設基本情報、(3)営業情報の3点。2023年7月に(1)災害情報の共有機能を稼働していたが、12月1日から(2)宿泊施設基本情報と(3)営業情報を通達する稼働も開始した。
(1)災害情報の共有機能は、地震や水害時の災害発生時に旅行会社が個別におこなっていた宿泊施設への被害状況確認を、プラットフォーム上で一本化。(2)宿泊施設基本情報は、住所・電話番号から部屋の数・タイプ、設備、アクセス情報など約1300にのぼる項目を、宿泊施設が随時登録・更新でき、旅行会社が取得可能にする。(3)営業情報の通達機能は、従来、メールや一斉FAXなどでの通知が多かった宿泊施設の施設や設備のメンテナンス、イベントなどの情報を、プラットフォームで発信できるようにする。
JATA国内旅行推進部長の野浪健一氏は「デジタル化、DXと言われているが、そこに遠く及ばない業務が多く残っている。非効率な業務を改善し、付加価値をつける業務にシフトさせる。デジタル化の推進とDXに向けたきっかけになれば」と話した。
2023年度中には、宿泊施設の登録数を現在の約5000軒から約7000軒に、旅行会社(自治体・DMO含む)は83社から200社とすることを目指す。宿泊施設の目標数は、旅行会社が商品造成するうえで契約する施設数とほぼ同数だという。
旅行会社側にはシステム利用料金が発生。取扱額に応じて月額1000円~100万円に設定。日本の旅行業登録を持つ旅行会社であれば、JATA会員外でも利用可能とする。また、自治体やDMOも利用可能とした。今後は観光・入場施設への拡充や、情報の多言語化、画像管理なども検討していく。